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通訳ガイド(通訳案内士)の仕事内容とは?

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この記事は約 27 分で読めます。

浅草寺

観光地や繁華街で、旗を持って外国人を先導したり、外国語で説明をしたりする人を見かけたことがあると思います。

この人達の仕事が「通訳案内士」です。なお、一般的には「通訳ガイド」の名前でよく知られているので、当サイトでも通訳ガイドの名称を使っていきます。

当記事では、海外の人々に日本を紹介する”観光大使”ともいわれる通訳ガイドの仕事内容、人気ガイドに必要なスキル、仕事の獲得方法ついてまとめました。

できるだけ具体的に、読んだ人に役立つ内容を書こうとした結果、文字数が1万文字ほどになりました。長くなってしまいましたが、他では書かれていない踏み込んだ部分まで書いたつもりです。「将来、外国語を使って仕事をしたい!」そんな目標をお持ちの方は、ゆっくりとお付き合いください。

記事の目次

  • 1 通訳ガイドとは?
  • 2 具体的な仕事内容
    • 2.1 ①添乗業務
    • 2.2 ②通訳業務
    • 2.3 ③企画業務
  • 3 ガイドするお客様の種類
    • 3.1 FITのお客様
    • 3.2 パッケージツアーのお客様
    • 3.3 インセンティブツアーのお客様
    • 3.4 その他
  • 4 「通訳ガイド」と「通訳者」はなにが違う?
    • 4.1 通訳ガイドの特徴
    • 4.2 通訳者の特徴
  • 5 仕事の魅力とやりがいは?
    • 5.1 お客さんから感謝される
    • 5.2 毎日楽しみながら仕事ができる
    • 5.3 たくさんの素晴らしい出会いに恵まれる
  • 6 仕事に必要なスキルは?
    • 6.1 語学力
    • 6.2 知識・調査力
    • 6.3 ホスピタリティ
  • 7 必要な資格は?
  • 8 仕事の必需品は?
  • 9 通訳ガイドの1日のスケジュール
    • 9.1 事前準備
    • 9.2 送迎
    • 9.3 ガイド開始
    • 9.4 昼食
    • 9.5 解散
  • 10 仕事を獲得するにはどうすればいい?
  • 11 まとめ

通訳ガイドとは?

観光バス

外国人観光客に対して、外国語で観光案内をするのが「通訳ガイド」です。通訳ガイドは、正式には「通訳案内士」といい国家試験に合格しなければなれません。

民間の「外交官」とも呼ばれ、さまざまな日本の文化、伝統、生活習慣などを外国人に紹介することで、日本と海外の国々の国際交流を担っています。

そのため、日本の伝統・地理・文化・政治・経済・歴史などの幅広い知識を持ち、話題も豊富であることが求められます。また、サービス業としての要素が強く、おもてなしの心やユーモア、細かな心配りが必要な仕事です。

繁忙期は、観光シーズンの春と秋。需要の高い言語は、英語以外に中国語・韓国語・フランス語などがあげられます。

2015年に訪日外国人の数は2,900万人を突破して、今後も増えていく見込み。それに伴い、通訳ガイドの需要も増えていくと予測されています。

具体的な仕事内容

日本地図

通訳ガイドの仕事は、空港から宿泊先への送迎や各種手続きのサポート、訪問先への同行などさまざま。代表的な業務に、下記の3つがあります。

①添乗業務

添乗業務とは、ツアーの参加者が安全かつ快適に旅ができるように、交通機関や訪問先の施設、ホテルなどと調整や対応をおこなうことです。

訪日ツアーでは、ほとんどの場合、添乗員がつきません。そのため、通訳ガイドには、スケジュールに沿って旅程を管理する「添乗業務のスキル」が求められます。

実際の仕事では、旅行会社から、事前に訪問する観光地や施設などが記載された「旅程表」を渡されます。

ただし、旅程表には、各観光地ごとの滞在時間や移動時間までは書かれていないケースが多く、その場合は通訳ガイドが計画を立てることになります。ときには、企画した旅行会社に出向き、打ち合わせをしなければいけないこともあります。

添乗業務については、くわしく書かれた書籍も数多く出版されています。これから通訳ガイドを目指す方は、一度目を通してみるとよいでしょう。

②通訳業務

「通訳ガイド」は、厳密にいえば通訳ではありません。しかし、多かれ少なかれ通訳業務をやらざる得ない場面はでてきます。

たとえば、観光で「酒造場」を訪問すると、現地の担当者が日本語で説明をしてくれます。ガイドは、この説明を外国人にも理解できる分かりやすい言葉に噛み砕いて通訳しなければいけません。このとき、一般通訳のように日本語をそのまま訳すのではなく、外国人の目線に立って、興味を喚起するように通訳するのがポイントになります。

ほかには、企業の視察旅行などで、工場や施設の説明を頼まれるケースもあります。こういった場面では、ビジネス通訳として”一語一句”正確に訳すことが求められます。

ただし、これは本来ビジネス通訳者がすべきことで、通訳ガイドの仕事の域を超えています。ビジネス通訳専門のトレーニングを受けた人でないと対応が難しいでしょう。

特に経験が少なく専門性の高い内容の仕事を依頼された時は、「事前にしっかりとした資料をもらえるか?」「当日までに十分な勉強時間を確保できるか?」、以上2点を踏まえたうえで引き受けるかどうかを判断します。チャレンジする勇気が必要なときもありますが、場合によっては断る勇気も大切なのです。

③企画業務

お客様の要望に応えるためにツアーの企画を立てたり、突然スケジュールを変更せざる得なくなった際には旅程を組み替えたりします。

たとえば、ガイドが「食事の手配」を任されるケース。食の好みは人それぞれ違うし、なかには外国人団体客を嫌がるお店もあります。予算や時間も限られている中で、少しでも日本の食事を楽しんでもらえるようなレストランを手配することが求められます。

ほかにも、よくあるのがツアーで回る予定だった観光地が、災害や急な工事などの理由で閉鎖されているケース。この場合、旅行会社とも相談をしながら代替案を考えますが、必ずしも担当者が現地事情にくわしいとは限りません。そんなときは、現場にいるガイドが中心となって訪問地を変更したり、旅程を組み替える提案をしたりします。

ツアー中、不測の事態に遭遇することは多々あります。そんなときも焦らず柔軟に対応し、参加者の皆さんに心から喜んでもらえる旅行を企画することが大切です。

ガイドするお客様の種類

観光客

ガイドをおこなう客層やニーズは多種多様、ビジネス需要もあります。お客様の種類は、大きく以下の4つにわけられます。

FITのお客様

FITとは「Foreign Independent Tour」の略。単独から数名規模(時には団体ツアーもあり)で海外旅行を楽しむ人達です。

FITのお客様をガイドする際には、要望をしっかりとヒアリングしながら進めていきます。参加者のペースに合わせて時間を調整したり、関心や好みに合わせて観光場所を変えたりする柔軟性が必要です。

参加者は、日本文化に興味を持っているタイプなのか、あるいはショッピングを楽しみたいタイプなのか。なかには、会話よりも写真を撮ることに集中したい観光客もいます。一人ひとりのニーズを汲み取り、それぞれの関心に合ったガイドをすることが求められます。

またFITでは、人数が少ないぶん相手と密に関われるので、プライベート感覚で親しくなれるメリットがあります。

パッケージツアーのお客様

パッケージツアーは、宿泊するホテルから移動手段の手配まで、すべて旅行会社によって企画されているツアーです。

一度にたくさんのツアー客を相手にするため、FITに比べ、通訳ガイドが一方的に話す時間が長くなります。また、スケジュールは旅行会社によってあらかじめ決められているので、ガイドの判断で勝手に変更することはできません。

さらに、添乗員が付かないケースも多いです。その場合、ガイドが添乗業務を担当することになるため、一度に大人数をまとめるリーダーシップが求められます。

パッケージツアーとFIT、どちらが大変かは一概には言えません。パッケージツアーでは、不特定多数のお客を同時にガイドしなければいけない苦労がある反面、合間には休憩が取れるし、比較的自由な時間もあります。

一方、FITでは、お客をまとめる大変さはありませんが、食事からショッピングまで終始つきっきりになることも多いため、常に気を抜くことができません。

それぞれ、好みの違いはあると思います。ただし、通訳ガイドの仕事一本で生計を立てていくなら、選り好みをしている余裕はありません。パッケージツアーとFIT、どちらにも対応できる能力を身につけておくことが重要です。

インセンティブツアーのお客様

インセンティブツアーとは、企業が海外販売店で働く優秀な社員などを旅行に招待するツアー。「報酬旅行」とも呼ばれ、社員のモチベーションアップや、クライアントへの宣伝・販売を目的に実施されることが多いです。

そのため、受け入れ側の日本企業の担当者が同行することも多く、旅程にはイベントやパーティが組み込まれることもあります。

参加者は、日本の文化や観光地にみずから興味を持って来日しているわけではありません。日本に対する興味の持ち方も人によって違うため、ガイドの難易度は高くなります。

なので、あらかじめ参加者の関心や趣味などの情報を旅行会社や企業の担当者から入手しておき、皆に楽しんでもらえる話題や内容を企画する必要があります。そして当日は、相手の様子を確かめつつ、その場に応じてガイディングの内容を合わせていくことが大切です。

その他

近年、クルーズ旅行で日本を訪れる外国人も増えています。大型客船で来日するお客様を案内する際は、通訳ガイドは寄港地で待機をしてお迎えします。この場合、1日だけの仕事が大半になります。

また、最近では小型客船(乗客数100〜200人程度)に乗って、10日間くらいかけて国内各地をめぐるツアーも流行っています。ガイドはツアー客と共に客船に乗り、各寄港地で観光案内をします。

ときには、離島など下見に行くのも困難な場所を廻ることもあります。大変な仕事ですが、客船に乗ってガイドするという貴重な経験ができる点では魅力的な仕事ともいえるでしょう。

「通訳ガイド」と「通訳者」はなにが違う?

英字

通訳ガイドは、日本を訪れる外国人に付き添い観光案内をする仕事。「通訳」と「通訳ガイド」は名称が似ているため混同されがちですが、全く異なる業務になります。

通訳ガイドの特徴

一番の違いは、通訳ガイドは、純粋に相手の言葉を訳してコミュニケーションを成立させるのではなく、みずからの言葉に置き換えて案内をする点です。つまり「訳す」のではなく、あくまで自分というフィルターを通して「案内」をする仕事になります。

だから、ガイドにも自然と人柄や性格が現れてきます。10人いたら10通りのガイドがあり、個性があったほうがお客さんにも喜んでもらえます。

通訳者の特徴

一方、通訳者は、発言者の言葉を正確に他の言語に置き換えるのが仕事。自分の性格や意見を盛り込むことは許されません。

たとえば、会議通訳の場で、どう考えても実現不可能なことを言っている人がいたとします。通訳者はそのままの内容を訳して、相手に伝えなければいけません。通訳者が「それは、ちょっと無理ではないでしょうか?」と口に出してしまったら、「あなたには言われたくない!」と怒られてしまうでしょう。

そういう意味では、通訳の仕事は、あくまで中立的な立場で通訳できる人が向いているといえます。

一方、通訳ガイドは、自らの個性を活かしてさまざまなアレンジが可能です。この点は、通訳ガイドならではの魅力ともいえるでしょう。

仕事の魅力とやりがいは?

お客さんから感謝される

ツアーの最後に、お客さんから「色んな国を旅行してきたけど、このツアーがいちばん楽しかったよ。ありがとう。」といった言葉をいただけることは、ガイドとして何よりの喜びです。不思議なもので、心を込めてアテンドしたツアーほど、その後もお客さんとの繋がりが切れません。

また、相手に喜んでもらえるだけではありません。自分が生まれ育った国について、あらゆる局面から語っていくなかで、自分自身も日本の素晴らしさを再発見したり、感動したりする場面に遭遇することが多々あります。さらに、異なった価値観を持つ外国人からの質問によって、普段なら考えもしなかったことに気づかされることもあります。

ただ案内をするだけでなく、人の人生や日本の魅力に密に関わることで、さまざまな発見ができる点も通訳ガイドの魅力です。

毎日楽しみながら仕事ができる

通訳ガイドは、「民間の外交官」と呼ばれることがあります。たとえば、バスの移動中には、観光案内だけでなく簡単な日本語講座をしたり、歌を歌ったりしてツアー客を楽しませることもあります。

通訳ガイドにとって、一番大切なのは「パーソナリティ」。つまり、その人自身の持ち味、個性、人柄です。参加者たちの先頭に立ち、みんなを楽しませながら日本を紹介することこそが、通訳ガイドの使命なのです。

「日本独自の文化や伝統、心の在り方などを広く世界の人々に知ってもらいたい」そんな風に考えている人であれば、日々楽しみながら仕事ができるでしょう。

たくさんの素晴らしい出会いに恵まれる

通訳ガイドの最大の魅力は、この仕事をしていなければ知り合うこともなかったであろう、世界中の人々に出会える点です。

短いときは半日程度、長いときには数週間にもわたり行動を共にし、共通の体験をすることになります。「心」の交流を図るとでも言うのでしょうか。ときに、ハプニングすら楽しい思い出に変わってしまうこともあります。

ツアーの参加者は、出身地も、文化も、価値観も異なる人ばかり。毎日が刺激的で、本当にやりがいのある仕事です。

仕事に必要なスキルは?

英語の勉強

語学力

リスニング・スピーキングなどの高い語学力が必須条件。そして、日本文化を外国語でアピールできるプレゼン能力も求められます。

ちなみに、国家試験である「通訳案内士試験」では、英検であれば1級以上、TOEICであれば840点以上、TOEICスピーキングスコア150点以上、そしてTOEICライティングスコア160点以上のいずれかの場合、外国語の筆記試験が免除になります。

したがって、通訳ガイドを目指すのであれば、最低でもTOEICスコア840点以上、英検なら準一級は欲しいところです。

知識・調査力

魅力的なガイドをするには、いかに参加者を楽しませることができるのか、いかに興味を惹きつけることができるかが重要なポイントになります。

そのためには、従来の名所や旧跡を廻るだけのガイドだけでは不十分。すでに皆がおこなっているガイドをするだけでは、周りとの差別化は難しいでしょう。

プラスアルファで、「アニメのジャンルに特化する」「ガイドブックには載っていないB級グルメを極める」「歴史だけは誰にも負けない」といった、自分の得意分野で専門家になることでツアー客にも楽しんでもらえます。

また、歴史や伝統の話も単調になりがちです。その場合は、映画の話題や個人的な体験談を交えて話すと相手の食いつきも変わってきます。たとえば、着物の「帯」の話をするときは、映画「スターウォーズ」の登場人物”オビワン”の名前の由来が「帯(オビ)」であるなどのトリビアを混ぜる、といった感じです。

実際にガイドをしてみると分かるのですが、日本を訪れる外国人には「観光地の説明はガイドブックを読めば分かるから、もっと日本の生の声を聞きたい」という人が意外なほど多いです。

たとえば、「失業率が何パーセントなのか?」「派遣労働者の割合はどのくらいなのか?」など観光名所そっちのけで会話に夢中になるツアー客も少なくありません。日本の”よそゆきの顔”ではなく、ネガティブな側面や国境を超えた共通の問題について知りたいのでしょう。

ガイドには、さまざまな分野に関する豊富な知識が求められることは確かです。ただし、勘違いして欲しくないのは、知識一辺倒の勉強でつけた話題では、相手を楽しませることはできないのです。

それよりも、相手が何を求めているのかに合わせて、提供できる話題を変えられる人のほうが喜ばれます。

ホスピタリティ

ガイドの仕事に向いているのは、相手が何を求めているのかを一生懸命に考えられる人です。

接客業としての要素が強いため、どんなに知識が豊富で語学に長けた人でも、相手を楽しませることができなければ不合格。反対に、上手に話せなかったとしても「楽しい時間」を提供できれば合格です。

観光客のなかには、こちらがどんなに準備をして臨んでも、観光地の説明にはまったく興味を示さない人もいます。また「話の相手をしてくれるのが嬉しい」と感じる人もいれば、「写真を撮りたいから、ほっといて欲しい」という人もいます。

ガイドには、単純な説明役ではなく、空気を読んでさまざまな役割を演じられる能力が求められるのです。

また、旅行には、ツアー客以外にも、バスの運転手や添乗員、レストランやホテルのスタッフといったたくさんの人が関わります。お客さんの要望だからといって、何でもかんでも要求していたのでは長期的な人間関係を築くのは難しいでしょう。

たとえば、夫婦で泊まるホテルに「ツインベッド」の部屋しかないケース。これは、本当によくあるトラブルで「別々に寝るなんて縁起が悪い!ダブルベッドの部屋に変えてくれ!」と大騒ぎになることがあります。

部屋を変えるにしても、そもそも日本のホテルには、欧米に比べてダブルベッドのある部屋が少ないです。そんな時は、ホテルのスタッフと協力してツインのベッドを近づけるなど、出来るかぎりの解決策を考えます。

お客さんの希望を、すべて受け入れてあげたいのは誰でも同じ。ただそれが難しければ、周りと連携を取りながら上手く調整する姿勢が大切になります。

そうやって、誰に対しても協力的な態度で接していると、自分が困ったときも自然と周りが助けてくれるものです。どんなときも、他者を気遣う「ホスピタリティ」を忘れないようにしましょうね。

必要な資格は?

選抜試験

通訳ガイドの仕事をするには、観光庁が実施する「通訳案内士試験」に合格し、各都道府県に登録する必要があります。

通訳案内士は、語学系唯一の国家資格であり、合格率は毎年20%程度。2015年4月時点の登録者数は、19,033人となっています。

試験の外国語の種類は、英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・中国語・イタリア語・ポルトガル語・ロシア語・韓国語・タイ語があります。

試験や資格の詳細についてはこちらの記事で詳しくまとめているので、参考にしてみてください。

→通訳ガイドの資格とは?最短で取得するにはどうすればいい?

仕事の必需品は?

ガイドをするうえで、欠かせない道具に「電子辞書」や「資料ファイル」があります。

電子辞書があれば、分からない言葉があってもすぐにその場で調べることができます。また、事前に案内する内容を資料にまとめておくと、説明するときもスムーズに進みます。

ほかにも、こんなものを使っているガイドもいます。

ツアーパンフレット、サングラス、通訳案内業免許証、京扇子、花札、虫除けスプレー、ツアールートの地図や日本地図帳、引率の旗、スケッチブック、ホワイトボード、筆記用具、電卓、時刻表、携帯灰皿、アメ、雑誌の切り抜きや新聞、充電器

通訳ガイドの1日のスケジュール

浅草観光

ここでは、”とある通訳ガイド”の具体的な仕事の流れを紹介したいと思います。

事前準備

ツアーの前日、または前々日に旅行会社へ出向き、旅程表を受け取ります。そして、飛行機が到着する時間や交通機関、宿泊先、レストランなどの細かい情報を確認します。

通常、宿泊施設やレストランは旅行会社で予約をします。しかし万が一、手違いなどで予約が取れていなかった場合、当日に困る思いをするのはガイドです。必ず自分でも確認の電話を入れておきます。

直接確認をすることで、ホテルにはどんな施設があり、どんな部屋なのか。大浴場は何時から何時まで利用できるのか。食事をする場所は和室か、洋室か。国際電話をかけることはできるのか。冷蔵庫の飲み物を利用した場合の支払い方法はどうなるか、などなど。手配ミスの確認だけでなく、あらかじめ必要な情報を把握することにも役立ちます。

特に、食事のメニューやホテルの施設に関しては、お客さんはとても知りたがります。当日聞かれるであろう質問を予測して、あらかじめ答えられる準備をしておくことが大切です。

送迎

ツアーの同行は空港への出迎えから始まります。長期ツアーの場合、初日は観光が入っていないケースも多いです。空港で挨拶を済ませ、あらかじめ手配していたバスに一緒に乗ってホテルへ送り届けます。

ガイド開始

翌日、お客さんの滞在しているホテルに迎えにいきます。観光スポットに到着したら、ガイドとしての本領発揮。決められたスケジュールに沿って案内をしていきます。

ただし、観光スポットをまわる順番や場所は、参加者の希望があれば若干の変更は可能です。というのも、日本観光といえば、由緒ある「神社」や「お寺」ばかりをまわるプランになりがちです。

別の日に、他の場所で神社やお寺をいくつも観光しているにも関わらず、さらにお寺を5ヶ所くらい回るようなプランの時もあります。そんなとき、「参加者が飽きているな…」と感じたら、臨機応変に変更するのは問題ありません。

たとえば、もっと近代的な場所を見たいと言われれば「お台場」に連れて行ったり、日本のアニメが好きな外国人であれば「秋葉原」を案内するのもよいでしょう。

参加者の要望を聞いて、ちょっとアレンジを加えるだけでも喜んでもらえます。こうした工夫も通訳ガイドの腕の見せどころなのです。

昼食

ツアーでは、食事が含まれている場合と、そうでない場合があります。特に「食事付き」の場合は、かならず確認が必要です。食事は旅行の楽しみの1つなので、ガイドも気を使います。

特に日本を訪れる外国人観光客は、年齢層が高く、お金にも余裕のある人が多いです。食事のクオリティーが自分の期待以下だった場合、即クレームに繋がります。

クレームの相手は、ツアーコンダクターや旅行会社であることが多く、直接ガイドに来ることはありません。ただ、現場にいる以上は無関係とは言えません。

その場の空気を読み、必要ならば多少の無理を言ってでも、旅行会社に変更の相談をしてもよいでしょう。

やはり、参加している皆さんに、素敵な思い出を作ってもらい満足して帰って欲しい。その気持ちがなければ、ガイドの仕事は務まりません。

解散

ツアー客をホテルに送り、業務は終了。最後に参加者から「とても楽しかった」「夜のツアーにも参加するよ」など満足の声を掛けてもらえたときは、本当にガイドの仕事をしていて良かったな、と実感できます。

また業務以外の時間も、観光スポットや歴史などを調べて、実際に自分の足で歩いて勉強することも大切。堅苦しい説明だけに終始しない、親しみやすいツアーを目指したいものです。

仕事を獲得するにはどうすればいい?

仕事の受注方法は、大きく以下の3つになります。

  • ①旅行会社やガイド団体に登録する
  • ②通訳の派遣会社に登録する
  • ③個人ブログやサイトを利用して集客する

一般的には、インバウンドを扱う旅行会社や派遣会社に登録して、フリーランスとして活動するのが主流。ほかにも、「通訳ガイド協会」から仕事を斡旋してもらうこともできます。

フリーランスという立場上、仕事を得るには積極的に営業活動をおこなう必要があります。「通訳ガイドは食えない!」などと口にする人もいますが、そういう人に限って、みずから仕事を獲得しようとする意識が低いもの。

旅行会社に対する訪問活動は、基本中の基本。まずは、インバウンド事業に力を入れている会社をピックアップし、最低でも10社以上に履歴書を持って訪問してみましょう。

地道に足を運ぶことで、仕事が発生した際に仕事がもらえるようになります。

コツコツと努力し、信頼を積み重ねていけば、年間50日働ければ多いほうと言われるガイド業界で、年間150件以上の仕事を受注するのも夢ではありません。

どんな仕事でも共通して言えることですが、周りと同じように行動していては大成しません。プロフェッショナルを目指すなら、人の3倍働くくらいの気持ちを持ちましょう。

最初は大変でも、仕事をこなしていくうちに、少しずつ直接依頼や紹介によって仕事量は増えてきます。ぜひ、頑張ってみてください。

まとめ

いかがでしたか。今回は、通訳ガイドの仕事内容と人気ガイドに必要なスキルについてくわしく書きました。

東京オリンピックの開催を控えた日本では、ますます通訳ガイドに対する期待が大きくなっています。その一方で、プロフェッショナルと呼べるほどのガイドはまだまだ少なく、高いスキルを持つ人材が不足しているのが現状です。

厳しい状況にあると言われている通訳ガイドですが、皆さんが考えているほど、チャンスの少ない業界ではありません。これからの国際化社会の根底を支える一人として、あなたが活躍する日が来ることを心から応援しています。

 

ここまで読んでいただき「よし!通訳ガイドに挑戦してみるか!」と思った方は、以下の記事も参考にしてみてください。資格取得から仕事獲得の流れまで、踏み込んだ内容を書いています。

→通訳ガイド(通訳案内士)になるには?

また「通訳ガイド」のほかに、

  • 会議・ビジネス・政治通訳
  • 司法通訳
  • 医療通訳
  • スポーツ通訳
  • コミュニティー通訳
  • 放送通訳

といった働き方もあります。興味のある方は、参考にしてみてください。

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